具現化アプリ
あたしは吉田さんの表情をうかがいながら言った。


吉田さんはサッと青ざめて階段にくぎ付けになっている。


「普段の階段はこっちの12段。上には屋上へ出るための扉が見える。だけど、今日現れているのは隣の13階段。上は真っ暗なモヤに覆われてる……」


吉田さんがゴクリと唾を飲み込む音が聞こえてきた。


「こ、こんなのなにかの間違いだよ。じゃなきゃおかしいもん……」


「そう思うなら、13階段を上がってみたら?」


あたしはそう言いながら、スマホで時間を確認した。


この階段が消滅するまで、あと20分くらいだ。


少し上まで上がって下りてくるくらいの時間、十分にある。


しかし、吉田さんはなかなか歩き出そうとしない。


その時、吉田さんのスマホが震えた。


「メッセージだ……」


そう呟いたのが聞こえてきたので、思わず画面を覗き込んでしまった。


《マナミ:ミキコの言ってることが嘘だっていう証拠はとれたの?》


そのメッセージにあたしはようやく納得した。
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