眠れない夜は、きみの声が聴きたくて


……響は今なにをしてるだろう。

クラス会には行ったんだろうか。

おそらくだけど、早坂に会って俺が来ないことを知って、そのまま帰宅した可能性が高い。

あの時、倒れなければ俺たちは確実に二年ぶりの再会ができるはずだった。

なのに俺の頭にいる彼女は今も十四歳のままだ。

色々悩んで、やっと会う決心をしてたっていうのに結果がこれだ。

……俺たちって、会えないようにできてるのかもしれない。


――『旭が幸せそうでよかった』

ふと、彼女に言われた言葉が頭を過る。

友達がいて、環境にも恵まれていて不満もない。でも、幸せかと聞かれたらきっと違う。

俺は十七歳で人生を終わりにしたくなんてないし、もっとやりたいこともあるし、幸せはこの先にあるって思っている。

できることなら、もう一度響に会いたい。

空白の二年間は埋まらないけれど、あのふたりで過ごした季節を越えたいって思う。

今の彼女のことを知るためには、まず自分が話さなきゃいけない。

俺は震える指先で、彼女に向けて文字を打ち込んだ。


【大事な話がある。時間がある時でいいから電話しよう】


< 149 / 192 >

この作品をシェア

pagetop