友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
さすがの手際の良さで業者が荷物を運んでくれた。
渉も、汗を拭いながら手伝ってくれて、あっという間に荷物がすべて運ばれた。

元から必要のないものは断捨離してきているから、私の荷物は少なかった。

「ありがとう・・・」
業者が引き返すのを見届けて、私たちは部屋に戻った。
「どういたしまして」
「疲れたでしょう・・」
「いや、久しぶりに動いて気持ちいいくらいだった。」
思えば渉はバスケ部でもエースで、運動は満遍なくこなすタイプだった。

「俺も運動不足だなー」
狭い部屋。消してきれいとは言えない部屋。

住めればいいと思っていたから、家賃だけを見て決めた部屋。
実際に見るといろいろと古くてがたが来ている。

私の考えていたことを渉に知られてしまったことで、気まずかった。
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