Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
私は早速豊を怒らせてしまった。
「ゴメン…豊」

「…別に謝らなくてもいいよ…睦月」

私は玄関先まで出社する豊を見送った。
「いってらしゃい・・・」

「今夜は会食だから…夕食は要らない」

「うん」

「じゃ行って参ります…睦月様」
豊のブリーフケースを持った瀬川さんがドアを開け、二人は出て行った。

私はリビングに戻った。

「!?」

豊はローテーブルにiPhoneを忘れていた。

私は慌てて手に持ち、共有廊下に飛び出す。

でも、既に二人の姿はなかった。

「どうしよう!?」
私が狼狽していると二つ先の部屋のドアが開き、小さな男の子が出て来た。

「パパ!!ママ!!早く早く…」

この間、引き払ったばかりなのに、もう新しい住人が引っ越していた。

「待ちなさい!!玲也」

男の子の名前は玲也君…


ママが出て来た。

「えっ?神楽坂先生??」

「貴方は筒見社長夫人?」

「ママ…この人誰?」

「・・・運動会の時、朔斗君のママと一緒に居たでしょ?憶えてない??」

「憶えてない…でも、朔斗君は僕のお友達だから…憶えてる」

「おーい、凛香…ゴミは出さなくていいのか?」

「あ…うん」

筒見社長も現れた。

「んっ?」

「料理研究家の神楽坂先生よ…」

「あ・・・神楽坂社長の・・・元妻さんか・・・」

「…柊也さん…その言い方は失礼ですよ…」

「あ…すまない…」

「実は私達…再婚して・・・」

「再婚?じゃ元の鞘に戻ったのか…」

「…実は私達…二つ先の部屋に住んでいて…ご近所さんなんで…よろしくお願いします」

「え、あ…こちらこそ…ご挨拶もなく…申し訳有りません…筒見柊也と言います・・・妻の凛香と息子の玲也です…」

「別に…自己紹介しなくても…いいわよ…柊也さん。この間…運動会の時に会ったし・・・」

「あ…そっか…」




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