Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~


臨海副都心・湾岸エリア。
桜前線が北上し、ようやく都心も桜の開花宣言が発表された。
『周防ホールディングス』の再開発でようやく完成した『有明ベイパーク』

高層ビルやホテル、商業施設にショッピングモール、大型施設や劇場と言った複合施設が揃っていた。モールと大型施設の真横には公園が併設され、遊歩道には四季を通じて楽しめる色とりどりの花々が植えられ、今は咲きかけの桜並木が人目を惹いていた。
夜の帳が下りて、街は人工的な光に包まれる。
私は最終チェックを済ませ、モールの従業員出入り口が出て、六十階建ての高層ビルへと歩いて行く。低層階は商業用フロア、中層階はオフィスフロア。用があるのは高層階。
高層階の四十階から六十階は『筒見リゾートマネジメント』が手がける「ヘブンズホテル・有明」
私は一階から乗り込み、最上階までエレベーターで昇った。
最上階…六十階のレストラン&バーは会員制。
VIP専用とあって天空の隠れ家としてセレブの間では人気だった。


明治時代から続く老舗デパート『帝都百貨店』の会長令嬢の私は勿論顔パス。

エレベーターを下りたつと目の前には非日常的な空間が広がる。

落ち着いたオリエンタルな雰囲気を醸し出し、特注の椅子やテーブルも重厚感が溢れていた。

メインのテーブル席、その奥にはカーテンに囲まれたソファ席もチラリと見える。

私は硝子張りのワインセラーを通り、バーへと向かい、カウンターを素通りしてその奥にあるバンケットルームへと急いだ。


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