ロマンスフルネス 溺愛される覚悟はありますか?

「な、何で!?別にいいよ誕生日とかじゃないしこんな豪華なお店…」


「恋人へのプレゼントに理由は要らないと思いますよ」


有無を言わさぬ夏雪に首根っこを捕まれるようにして店内に入ると、店員さんに丁寧にお辞儀をされて背筋に緊張が走る。


外から見たお店の雰囲気とは対照的に、店の内装は落ち着いている。温かみのある照明にシックなジュエリーが並び、美術館のような雰囲気だ。

こういう豪華な宝飾品はゴテゴテしているのかなと思っていたけれど、目の前に展示された一粒ダイヤのネックレスなどは余計な飾りが一切なくシンプルで美しい。

ノーブルな輝きに惹かれて値札をちらっと見ると、0の数の多さに恐れおののいた。やっぱり、ベリーウィンストン。


「ね、私には似合わないよ…。それにここ、私たち以外にお客さん誰もいないよ?」


「営業時間は過ぎてますからね。しばらくの間貸し切りました」


「な、な、何してんの何してんの!?
きっと店員さん早く帰りたいって思ってるよ!」


庶民の悲しい性なのか、貸しきりと聞いてさらに挙動不審になる。夏雪に耳打ちしても彼はいっこうに気にしていない様子だ。


「あなたが俺との約束を反古にして、飲み会などに行かなければ営業時間に間に合っていましたが」


「うぐ」


こちらの立場の弱いところを攻撃される。夏雪はこういう所が本当に容赦ない。さらにじとーっとした目で追撃してくる。


「そういえば先程は、仮に彼氏が鴻上さんだとしたら祝って欲しいなどと言っていましたっけ」


「そ、そんな事まで聞いてたの!?」


思わず言い返したところで店員さんが「何かお探しですか」と上品に近付いてくる。慌ててむぐっと口をつぐんだ。


「指輪を」


夏雪は平然とそう言ってのけ、けれど私はその一言で一気に心臓が跳ねた。



ゆ、指輪…!?
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