ロマンスフルネス 溺愛される覚悟はありますか?


夏雪に「ありがたいけど、この大量の贈り物は何?」とメッセージを送ると、秒で返事が返ってきた。


「必要物質調達、礼不要」


中国語かな。…いや、私が読めるから日本語のはず。

極限まで内容が短くなっているけれど、夏雪が言いたいのは、生活に必要なものを届けただけだから礼には及ばないということなのだろう。なんだか忙しそうなので「感謝、返信不要」とだけ返しておく。



それにしても『必要物質』と言うにはあまりにラグジュアリーな服や靴たちだ。ドレッシーなワンピースやスーツ、トレーニングウエアなどのカジュアルな服もスタイリッシュなものばかり。さらにスキンケアとメイク用品。下着まで用意されている上に、着けてみたらぴったりだった。


「なんでサイズ知ってるのよ…今度問い詰めてやる」


深みのあるローズピンクの上下に、セットになっているキャミソール。普段の下着と違いすぎて気恥ずかしいけど、シルクのとろみのある質感は着心地良くて、自然と背筋が伸びる。

服はブラックのパンツスーツにヒールのないフラットなオペラシューズを合わせた。



「ははっ、矢野さんSPみたいですね。そういう服を選ばれましたか」


昼食時に顔を合わせた九重さんに、なぜか大笑いされてしまった。


「他に女性らしい可愛い服がたくさんあったでしょう?ボルドーのワンピースとか似合うと思いますよ」


「いえいえ、私にはそんな…って、何で服の種類までご存知なんですか!?」


「僭越ながら私がこちらのショッピングフロアで選ばせて頂いたので」


そうだったの!?ってうことは今着けてるこの下着も選んでるの?何でサイズまで……
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