君と一緒なら



「そういえば、希空ちゃん」


 そう思っていると、真宙くんが声をかけた。


 話は絵のことに。
 真宙くんは「絵を描くことは好きなの?」と訊いた。

「好きだよ」と返答すると。
 真宙くんは「美術部には入ってるの?」と訊いた。

 私は人と接することが苦手。
 だから美術部に入らなかったことを言った。

 すると真宙くんは「驚いた」と言った。

 真宙くんのその言葉にキョトンとしていると。
 真宙くんは「初めて話す俺にも話せてるし、一緒に公園にもいるから」と言った。

 確かに真宙くんの言う通りだと思った。

 だから「今日はどうしてだろう……。
 いつもの私はこんな感じじゃないから」と言った、ら。

 真宙くんは「嬉しいよ‼」と言った。

 真宙くんのその言葉に驚いた。
 どうして嬉しいのだろう、と。

 そう思っていると「それって俺に心を開いてくれているということだよね‼
 それがすごく嬉しいんだ‼」と真宙くんはそう言ってすごく喜んでいた。

 私が真宙くんに話せていることが。
 真宙くんにとって、そんなにも嬉しいことだなんて……。

 そんな真宙くんにとても驚いた。


 って。

 あれ……?

 ちょっと待って。

 私、真宙くんに心を開いているの……?

 自分では全く気付いていなかった。

 でも確かに。
 いつもの私なら。
 慣れていない人や初めて話す人と、こんなふうに一緒にいることなんてできない。

 じゃあ、やっぱり真宙くんの言う通り。
 私は真宙くんに少しだけ心を開いている……?

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