君と一緒なら

5.約束




 私と真宙くんは屋上に来ていた。


 屋上から見える景色を見ながら。
 思っていた。

 黒川さんに追い詰められていたとき。
 真宙くんが助けに来てくれていなかったら。
 私はどうなっていたのだろう。
 そう考えると、恐ろしくなってくる。


 真宙くんにお礼を言わなくちゃ。


「あの……真宙くん……
 さっきは助けてくれて、ありがとう」


「いいよ、そんなこと。
 ……それより」


 ……?


「なんで俺に相談してくれなかったの。
 黒川さんから、あんな目にあっていること」


 真宙くんの言葉に。
 何も言うことができなかった。


「もっと俺を頼ってよ、希空ちゃん」


 ありがとう、真宙くん。

 真宙くんの優しさ。
 とても嬉しい。


 だけど。
 真宙くんに頼るということは。
 話さなければならないということになってしまう。
 知られたくない過去を真宙くんに。

 それは。
 私にとっては、かなり難しい問題。

 だから我慢するしかなかった。



「そうだ希空ちゃん、
 前にさ、希空ちゃんと一緒に出かけたいねって言ってたでしょ。
 それでさ、近いうちに空いてる日ない?
 俺、どうしても希空ちゃんに話したいことがある」


 話したいこと……?


「どうしても休みの日がいいんだ」


 真宙くんの真剣な眼差し。

 伝わってくる。
 真宙くんの真剣さ。


 そんな真宙くんのことを見ていると。
 緊張してしまう。

 だけど。
 聞きたい。
 真宙くんの話。


 ……それに……。
 ……会いたい。

 話を聞きたいだけではなく。
 会いたい。
 真宙くんに。

 そう思ったから……。



 こうして。
 私と真宙くんは今週の土曜日に会うことを約束した。

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