君と一緒なら

3.自己紹介




 しばらく歩いていると。


「よし、ここに入ろう」


 男の子がそう言って入ったところ。

 そこは公園。


 男の子は私の腕を掴んだまま公園の中を歩いて行く。

 そのとき、ふと思った。

 男の子が私の腕を掴んで歩き出してしまったからとはいえ。
 話したばかりの人にそのままついて歩いている。
 それは、何という大胆な行動なのだろう。

 いつもの私なら考えられない行動。

 人と接することが苦手な私が……。
 というか、人と話すことを得意としている人だって、そんな行動は考えにくい。

 それなのに。
 今日の私は一体どうしたのだろう。

 どうした……?

 ううん、違う。

 私がこんな行動をとっているのは。
 今日はどうしても学校に行きたくない。
 そんな気持ちからくるものだと思う。

 とはいえ。
 やっぱり、いつもの私とは何かが違う。

 なんで今日はこんなにも……。


「あっ、ここ空いてる。ここ座ろ」


 男の子が示した方を見ると、ベンチがあった。

 男の子は私の腕を掴んでいた手を離してベンチに座った。


「君も座りなよ」


 男の子はそう言って、男の子が座っている隣の空いたスペースを手でポンポンとした。


 男の子にそう言われ、男の子の隣に座った。


「あっ、そういえば名前まだ言ってなかったね」


 男の子の隣に座ったすぐ後、男の子がそう言った。


「俺、青野真宙(まひろ)。よろしく」


 青野真宙……。

 この男の子が青野真宙くん。

 私も名前は知っている。


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