行き着く先は・・
(十六)

••正樹・悠人


正樹は、

希空と今では良い友達と
なっていた。
たまにLINEをしたり
飲みに行ったりするが····

花屋の仕事もなれてきて
イタリアに勉強に行ったり
希空の向上心には驚かされる
日々の中······

気になっている娘がいて
告白の足固めをしている。

希空に話したら
凄く喜んでくれて
頑張るように言ってくれた。

希空には、そんな相手いないのか
訊ねたが······

今は·····ないかな·····と。
あの男のしたことは、
かなり希空を傷つけたのがわかる。

だが、イタリアで知り合った
男性の息子さんと
LINEしたりしていると
楽しそうに話してくれた。

なんか、人に興味がないみたいで
いちいち、言うことが
変わっているとか·····
その人とは、ダメなのか
と、言うと
無理無理、遠くて·····と
またまた、笑っていた。

綺麗で、誰から見ても可愛い希空
幸せになって欲しいと
心から思っていた。



悠人といすずは······

今でも籍を入れずにいた。

悠人の両親とは、
まったく連絡をとれていない

いすずは、
自分がそんなに悪い事をしたのか
と、段々と思うようになっていたから
自分の両親にも
悠人の母親から言われた事を
愚痴ってしまって
両親から叱られてしまった。

この年になって
親に叱られた事への
ショックと苛立ちが
悠人に向かった。

悠人も悠人で
いすずは、仕事人間なんだから
家の事を毎日、毎日やってくれる
ことはないと、わかっていたのに。

自分も、工場勤務になり
毎日大変な中
希空とのことを知っている人
聞いた人から
嫌みや文句を言われる事も
しばしばで。

いすずにそばにいて欲しい時もある
優しく迎えて欲しい時もあるが·····

一週間の内、ほとんど
悠人の方が早く帰る

いすずは、土日も打ち合わせや
出張だといない。
この間、抱こうとしたら
疲れていて、そんな気にならない
と、言われた。

訝しくなると······

やはり、思い出すのは
希空の事だ。
忙しくても料理を作り
洗濯や掃除をしてくれていた。
はにかんだ顔や
怒った顔、笑った顔を思い出す。

どうして、大切にしなかったのか···
どうして、手放したのか·····

希空とだったら
両親とも、こんな風になって
いなかったと、涙が滲む

世界に一人ぼっちに
捨て置かれたように·····
悠人は、惨めで、情けなかった。
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