行き着く先は・・

••イタリアへ


イタリア行きに乗り込む
またまた、ファーストクラスで
修吾さんに申し訳なく思いながら
イタリアに向かう

到着すると
驚くことに聡吾さんがいて
「大丈夫か?」
と、言われて
「なんとか。
迎えにきてくれたのですか?」
と、訊ねると
聡吾さんが頷いたので
「忙しいのにすみません。」
と、謝ると
「問題ない。いくぞ。」
と、言いながら
私のキャリーバッグをひいてくれた。
足の長い聡吾さんは、コンパスが広くて
私は、早足で進む

空港をでると
車に乗り込みリタのお店に向かう

車の中で
「この間、持たせてくれた酒
旨かった、ありがとう。
あいつも喜んでいた。」
と、言う聡吾さんに
「良かった、気に入って貰えて。
修吾さんは、リタの所ですか?」
「リタは、自宅に戻っている。
本人が、帰りたいと言ったらしい。」
「そう···ですか····」
それが、何を意味するのか
言わずともわかる。
それでも、リタの回復を願いたい。

聡吾さんは、私を気にしてか
何も言わずに車を進めてくれた。

私も車の窓から
イタリアの街並みを
みていた。

リタのお店についた。
2階、3階が居住スペースになっている。
私がリタのお家に居た時と同じ

着くと修吾さんが
直ぐに出迎えてくれて
私の顔をみて頷くから
私も頷き返した。

いいかい?と言うことであろうから
はい。と言う意味で答えた。

修吾さんは、一つの部屋の前に立ち
« コンコン »と、ノックをして
私を部屋に入れてくれた。

リタの部屋には
リタの家族がいた。
娘さん夫婦とリタの妹さん夫婦だ。

大きなベッドにリタは寝ていた。

私は、ご家族に頭を下げて
リタのそばに寄り
『リタ、希空よ。ごめんね。遅くなって。』
と、リタの手を握ると
リタは、目を開けて
『ノア?きてくれたの?』
と、小さな小さな声で言う
うんうん、頷きながら
『元気になって!』
と、言うと
リタは枕から一枚の紙を出して
希空に渡した。

希空は、それを受け取りながら
『これ、私に?』
と、言うと
リタは、ニッコリ微笑んだ。

私は、その紙をみる
その用紙には、
《 希空にこの店を渡したい 》
と、言う内容が書いてあった。
希空は、
『駄目だよ。』
と、リタに伝えると
リタは首を降りながら
『ノア、無理な事をお願いしている
と、わかっている。
だけど、私はノアにやって欲しい。』
と、言った。
私は、リタの家族と修吾さんを見た

リタの家族も修吾さんも
みんな頷いてくれた。
みんな知っていたんだと思い
希空は、リタの手を再び握り
『わかりました。
リタの店、引き継ぎます。
だから、リタ、ずっと私のそばにいて。
ダメなときは、叱って。
色んな事を教えてね。』
と、言うとリタは頷くと
ポロリと涙を流して目を閉じた。

リタの目が再び開く事はなく
私はリタのそばを家族の方に
譲りながら涙が止まらなかった。

私にこの事を頼みたくて
待っていてくれたの?
あんなにお世話になっていたのに
もっと連絡を取っていたら
と、後悔がわく。

そんな私を聡吾さんが
抱き締めてくれて
私は、大きな声で泣いてしまった。
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