透明な君が帰る場所
ガラッー、と開いた部屋のドア。
驚いた顔のお母さんと、陽太のお母さん。




「花菜っ」





お母さん、私はーー帰ってきたよ。







お母さんが私を抱きしめたと同時に、陽太もお母さんに抱きしめられていた。


いつもの陽太なら恥ずかしいって押しのける陽太が、今日はしなかった。


「母さん、さっきーー父さんにあったよ。
花菜を幸せにして、母さんも大事にしろってさ」



陽太のお父さんーーーー。


「ーー私もさっき、陽太のお父さんにあったよ」


私は話した。

陽太に幸せにして貰え言われたこと。



自分はそこにいないけどって。



陽太は涙ぐみながら、聞いてくれた。







そんな陽太が、涙を拭いーーーー。





こう言った。












「母さん、花菜のお母さん。

俺ーー花菜と、結婚します!」




病院に響き渡るぐらいの大声。





「いいんじゃない。それに、あんたら今更よ」



陽太のお母さんは、今更って笑った。




「体を治したらね、陽太くん。
お父さんにも、挨拶に来てね!」


お母さんの言葉に、少したじろぐ陽太。

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