結婚から始めましょう。
「桃ちゃん聞いてる?」

いけない。再び4人の視線を独占していた。

「う、うん」

「でね、その秋葉蓮さんが桃ちゃんのお見合いの相手よ」

「すっごい!!玉の輿じゃないの!!」

「しかもイケメン」

「羨ましい」

口々に騒ぎ立てるお姉様方。
私だけ、実感が湧かない。というより疑問しか出てこない。

「で、でも、容姿も良くて大企業の社長なんて人が、どうして私なんかとお見合いするの?お相手に困らないでしょうに……」

「聞いて驚くことなかれ。あちらからの申し出よ」

「はっ?どういうこと?」

「秋葉さんね、桃ちゃんがカサブランカに出向いた時に見かけたらしくて、一目惚れだそうよ」

「きゃー!!」

一斉に黄色い声が上がるから、慌てて耳を塞いだ。

「さっすが桃ちゃん。美人さんだもんね」

「華子さんの家系だもの。誰が見ても美人よ。おまけに可愛らしさもあって親しみやすいし」

お姉様方は、唯一独身で最年少の私をいつもからかってくる。
そりゃあ、確かに華子さんは今でも歳を感じさせない美人で、貴志さんのようなすごい人が見初めるのも頷けるけど。そこまでのものを、私は到底持ち合わせていない。


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