結婚から始めましょう。
「南田様より、純也さんのご結婚相手の紹介をと依頼を受けまして……」

「必要ない」

話を遮って鋭く返されてしまう。想定内だ。

「純也!!」

南田は私に申し訳なさそうな目を向けた後、純也を必死で諫めていた。

「あんたも仕事だから来たんだろうけど、私には必要ない。お帰りください」

「おい、純也」


「10分だけ……」

暴言に近い言葉を怯まず受け止める。
それから私が声を発すると、純也は驚いた顔を見せた。

「10分だけ、聞いてくださるんですよね?」

控えめに笑みを交えて言うと、純也は落ち着きを取り戻し、再び聞く意思を見せてくれた。

「お忙しいのにすみません」

謝罪を口にすると、何か感じるものがあったのか、少しだけ申し訳なさそうにした。

「別にあなたが悪いわけじゃない」

〝あんた〟が〝あなた〟に変わった。良い傾向だ。



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