結婚から始めましょう。
「蓮さん……なんか、すみません」

車に乗り込んだ私の第一声だ。
お姉様方の作り出した空気は、さすがにいたたまれなかったと思う。そして、今も私はなんとなく気まずい。

「大丈夫。ここは本当に雰囲気の良い職場だね。あの様子なら、育休もバッチリそうだ」

「れ、蓮さん!?」

蓮までもそんな発言するから、再び焦ってしまう。

「ごめんごめん。でもからかってるつもりはないんだ。子どものことだけど、考えていかないとね」

「そ、そうだね」

「桃香はどう思ってる?」

結婚を意識し出してなんとなく考えてはいたけれど……

「私は、自分が一人っ子で寂しく思うこともあったから、2人は欲しいと思う」

「同じだ。うちも両親が忙しい人達だったから、幼心に寂しい思いもした。だから、2人は欲しいって思ってる」

まだ気が早いけど、蓮に似たら男の子でも女の子でもきっと可愛いと思う。

「時期はどうしたい?」

より具体的な質問に、ドキッとする。こういう話は、これまでしてこなかったから。というより、まだそういう関係にはなっていないから。

考え込んでいたら、蓮が先に口を開いた。

「僕の希望だけど、暫くは桃香との2人での生活を楽しみたい。まだ出会って間もないし、もっと2人で恋をしたい」

あっ、初めて会った時に私が言ったことを覚えてくれてたんだ。

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