医学探偵S
「ナルコレプシーは、脳の中にあるオレキシンという物質を作り出す神経細胞が働かなくなることで起こります。夜間にどれだけ寝ても日中に自分でも制御できないほどの眠気が現れ、どんな場所でも眠ってしまうことが特徴です。そして、先ほど教えていただいた情動脱力発作や睡眠麻痺などが起こります」

男性は「治るんでしょうか?」と不安げな顔を見せる。和都は微笑みながら言った。

「生活指導と薬物治療という二つがあります。きちんと治すことができますよ」

和都がそう言うと、「よかった……」と男性は安心したような顔を見せる。そして結弦が病院を紹介し、明日行ってみますと話して帰っていった。

「昼間急に寝ちゃうなんて怖かっただろうな〜……」

和都がそう呟くと、ポンと頭に手が置かれる。横を見れば結弦が医学書を片手に立っていた。

「君はもう少し色々な病気を勉強することが課題だな。これを読んでおけ」

医学書を手渡すと結弦は帰っていく。和都は「わかってますよ!」と言い、ページをめくる。

休み時間に寝たからか、集中して取り組めた。
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