触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
今日、SARASAに行こう。

茜ちゃんに話を聞いてもらって、澪ちゃんに会う勇気が少しだけ持てた気がする。




「あら、珍しい。アンタが週の中日に来るなんて」



開店直後のSARASA。

意気込んで来たもののカウンターに立っていたのはサラサさんと知らない男の人だった。

グレイ混じりの髪を後ろにまとめて、澪ちゃんと同じようなタキシードを着ている。



「あ、れ、サラサさん、今日は澪ちゃん休み?」



いきなり出鼻をくじかれた感じがしたけど、そのまま帰るのも申し訳ないのでいつものようにカウンターに座る。

澪ちゃんが立っている場所に知らない人がいるだけで、初めて来た店のように感じる。



「毎週水曜日はあまりお客さん来ないからね、澪ちゃんも休みよ〜。この人はただのボランティア」




雑な紹介をされた男の人が苦笑する。



「なにか飲みますか?」



手際よく水とおしぼりとメニューを手渡される。

ここに来た目的が澪ちゃんだったから、あまりアルコールに目がいかない。

明日も仕事があるし。

結局ノンアルコールカクテルを頼むと、サラサさんが驚いたように声をあげた。



「なあに、具合いでも悪いの?」

「え、なんで?」

「あんたがここに来て酒を頼まないなんて、変だもの!なにやだ、怖〜い」



大袈裟に身震いをする動作をするサラサさん。


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