エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
点検のお知らせなど、本社で管理してくれる郵便物もあるけれど、数ヶ月に一度催している天川支店限定のイベントのお知らせは当然支店管理で、細々したお知らせを郵便局に持ち込むのも受付の仕事だ。
幸い、支店から歩いて数分のところに大きな郵便局があるので、助かっている。
割とバタバタしているため、受付をひとりで担当するのは難しい。できたら誰かひとり常に受付に座っていたほうがいい、という判断から、十ヵ月ほど前から派遣社員が受付を一緒に担当してくれているのだけど……。
「間もなく営業の今井がまいりますので、少々お待ちください。待って頂いている間、よろしければお飲み物いかがでしょうか」
車検のため訪れた若い男性がメニュー表のなかから選んだのはホットコーヒー。「かしこまりました」と席を離れた途端、電話が鳴った。
受付には、派遣の塚田さんが座っている。
電話はその目の前で鳴っているというのに、塚田さんは自分の指先にほどこされたネイルを眺めているだけで、受話器に手を伸ばす様子はなかった。
ひとつ息をつきながらも受付まで走り電話をとる。
相手は、今日13時に車をとりにくるという話の、富田さんの顧客である根津様だった。