エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


「俺の方もあまりに唐突すぎたし、受け入れるのに時間がかかるのは当然だ。それに、しっかりと俺の気持ちを理解してくれたならそれで構わない」

「……はい」
「それと、さっきの話に戻るが……藤崎は、俺が付き合ってきた女性のタイプとは違うと言っていたな」

その言葉に、元していた話題を思い出していると、四宮さんが続ける。

「今までがそうだったというだけで、この先もそうだというわけではない。俺なりに藤崎のことをよく見てきてそれなりの理解はしているつもりだし、藤崎がさっき自分で言っていたような性格だということも知ってる」

「どうして……」と思わず声が漏れたのは、四宮さんとそこまでの時間を一緒に過ごしていないからだった。

お見合いの日と誕生日パーティー、それと今日。
この三日間の中で、私は、傍から見たらじれったく感じるほど溜め込んだりうじうじ悩んだり、タイミングを誤って爆発したりしたっけ……?

四宮さんの目がある手前、それなりに気を付けていたハズだけど無意識にそうしていたんだろうか。

そう思い不安になっていると、四宮さんが笑う。

「俺が職場の上司だってこと、忘れてるのか?」
「あ……」
「週に一、二度、天川支店に行くようになってからもう二ヵ月経つ。社員の仕事ぶりくらい把握しているし、藤崎のことは浅尾からよく聞いてる」

言われて納得した。
職場での私は確かにそうだ。浅尾さんなんて私のそういう部分を一番知っていて気にしてくれているのだから、その浅尾さんと同期で仲がいい四宮さんまで話が通っていてもおかしくない……に、しても。

四宮さんに対して猫を被るつもりはなかったし、そんな技術はないけれど、それにしたって浅尾さん経由で色々知られているのはいたたまれない。


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