【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「全く呑気な女ね、あんたって。
でもマーメイドに来てあんたを連れて行く小鳥遊樹は私の知っている小鳥遊樹とは違ってた。
あんなに怒った顔も、慌てた顔も見た事なかったからちょっと傑作だった。
いいんじゃん、あんたの事好きなんじゃん」

ニヤニヤが止まらない。傍から見たらそう見えていたなんて。
あの時は私もパニックになってしまって、状況がいまいち掴めなかった。

「でもさ、子供の件はちょっと心配でもあるけど…」

アイスコーヒーをすすりながら、心配そうに眉をひそめるかおるちゃん。

チビひなたの事、向日葵さんの事はかおるちゃんにだけ相談した。 とてもじゃないけれど、自分の中でだけで抱えられる問題ではなかったから。

「付き合っていくのはいいかもしれない。小鳥遊さんが真剣なら…。
けれど将来的な事を考えると、すごく難しい事だと思う。だって小鳥遊さんの子供はあんたとは血が繋がっていないんだから。
血の繋がりだけが全てだとは私は思わない。けれど、その子供と一緒に居るって事は嫌でも亡くなった奥さんの事を忘れるなんて出来ないんだから」

珍しくかおるちゃんは真剣な顔をしていた。 そして彼女の言う事は最もだ。

樹くんと付き合っていくという事は、チビひなたと一緒に生きて行く事。 そして二人との未来を考えるならば、向日葵さんの事は切っても切り離せない。

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