【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「へーまさかーあんたがねーあの小鳥遊さんとねーふーん、人生って何が起こるか分かんないもんねー」

数日後、昼職の休憩中にかおるちゃんがやって来てオフィスビルの近くのカフェでランチを取っていた。

青い作業着の私はカフェでは少し浮いていた。対して大人っぽいモノトーンのワンピースを着て、綺麗に髪を巻いてお化粧をしているかおるちゃんは、この都会的なお洒落なカフェにまるで遜色なしだ。

かおるちゃんの方がよっぽど樹くんとはお似合いである。
こんな汚い作業着の女を選んでくれた、樹くんの考えはまだいまいち分からない。

「おいひーッ。このサンドイッチおいひーッ」

「ちょっと汚いわね。口に含んだまま喋らないでよ」

ふぅっと小さなため息を落とすかおるちゃんがアイスコーヒーのストローに手を伸ばす。

「小鳥遊さんはマーメイドにも来店してくれるお客さんだから、狙っているキャストも多かったのよ。
何人かは一晩の関係で相手にはしてくれたけど、やり逃げってパターンが多かったから。
マーメイドのキャストだけじゃない、私の芸能関係の知り合いにもそういった女の子は多かったから」

「あはは~、樹くんモテるからねぇ~かっこいいもんね~!」

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