今日から不良王子と同居します。
そんな彼を見たら胸の奥が早鐘を打ち始めた。


もうー、なんなんだろう。からかわれてもドキドキするけど照れ顔を見せられたほうがもっと、胸が高鳴ってしまうなんて。


「明日香ちゃん、ごめん私達急いでるからもう行くね。じゃあまた明日。早く部活に行ってね」


慌ててまくしたてて、彼の手をとると早足で歩きだした。


これ以上、明日香ちゃんにあることないこと言われないうちに、早くこの場から退散しよう。


「そうだね音葉、早く帰った方がいいよ、直政に見つからないうちに」


「う、うん」


振り返ったらため息交じりの明日香ちゃんが手を振ってくれていた。


だけど、どうして直政くんに見つかったらいけないんだろう。


まあ確かに、直政くんは玲生くんにあんまりいい感情は持っていなさそうだけど。


そんなことを思いながら、玲生くんを引っ張って歩いていた。


急におとなしくなった玲生くんは黙ったまま項垂れていた。


あれ、どうしちゃったのかな?玲生くん。


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