今日から不良王子と同居します。
「直政さん、でも俺、約束はできないかもしれない」


だけど突然、玲生くんはとんでもないことを言い始めた。


「どういうことだ?」


「音葉さんに指一本触れるなってことを。
俺、このまま彼女と一緒に暮らしてたら、絶対にそんなことがないって言える自信はありません。
それほど、音葉さんは俺にとって、これまでに会ったどんな人より特別な気がするから」


いきなり何を言い出すかと思ったら、玲生くんどうして?


特別ってどういう意味?


ドキドキして胸の中が騒がしくなる。


どうしてそんなことを今ここで言うの?


まるで、私を女の子として意識してるみたいなこと。


それじゃあまるで、直政くんに宣戦布告しているみたいだよ。


「おまえっ」


心配していた通り、直政くんは声を荒げて怒り出す。


どうしよう、これじゃあさっきの言い争いの繰り返し。


どうしたってこのふたりの衝突は避けられないのかな。


ふたりにこのまま喧嘩なんてしてほしくない、絶対に。


もう一刻も早く直政くんを連れてこの場から立ち去りたい。

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