今日から不良王子と同居します。
「……かっ、からかわないでったら」


絞り出すような小さな声しかでない。


だけど、この時彼の方をどうしても見れなかった。


身体中が沸騰したみたいに熱くて、恥ずかしい。


「い、行こう。直政くん」


玲生くんの方をみれないまま私は直政くんの手を引いてもと来た道を歩き出した。


すっかり気が動転してた。


怒っていたわけじゃない。


からかわれてるって思ったわけじゃない。


彼の言葉を本気にしてしまいそうで。


怖かった。


いったいどういう意味でそんなことを言ってるのかわからないのに。


本気なのか遊びなのかも。


だけど、


もしも本当だったらってそればっかり考えてしまって、頭の中がパニックになりそうだった。


だから、玲生くんにはそれ以上なんにも言えずにその場から立ち去ってしまったんだ。


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