今日から不良王子と同居します。
その途方もない年月にまだ、頭が追いつかない。


そんなに長い間、私のことを好きでいてくれたなんて。


今更ながら、気が付かなくて申し訳なく思ってしまう。


確かに学園内でもかなりモテるはずの彼がこれまで彼女のひとりもつくらなかったなんて不思議におもってた。


まさか、私のことを想っていてくれたなんて。


嬉しくないなんて言ったらうそになる。きっとそんなこと言ったら罰当たりなくらい彼は私にはもったいない人。


それに、婚約しているからにはいずれ結婚するんだろうなって漠然と理解していたわけだし。


なのにどうして私の胸の奥はこんなにざわざわしてるんだろう。


「婚約したくらいだもん、音葉は直政と結婚してもいいって思ってたんでしょ?」


「う、それは」


正直いうと、彼が婚約のことはまだそんなに深く考えなくてもいいからって言ってくれていたものだから。


私はその通り、あんまり意識してはこなかった。


結婚なんてまだまだずっと先のことだと思っていたんだ。


その通りに明日香ちゃんに打ち明けたら、受話器の向こうから盛大なため息が漏れ聞こえた。
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