今日から不良王子と同居します。
肩を並べて歩いているような気がしないから、兄みたいって表現がしっくりくるんだ。


「ふうん、それって友達としては好きってことでしょ。だったらそれで十分なんじゃないの?」


「へ?」


明日香ちゃんに意外なことを言われて間抜けな返事をした。


「だって、婚約者なんてそんなもんでしょ?
私たちの世界では親同士が決めた結婚なんてざらだし、顔も知らない年の離れた人と結婚する場合だってありうるじゃん。
それを想えば、直政はまだいいほうなんじゃない?顔も性格も及第点だし、なにより音葉のことを昔からしつこくずっと好きだったんだし」


明日香ちゃんは初めは真面目な声で話していたけど途中からふざけてるみたいな口調に変わった


「しつこくって、ひどいな、明日香ちゃん」


「私に言わせれば、直政は一途すぎて訳が分からないやつだけどね。もう10年ちかく音葉一筋なんだからさ」


「10年……」


「隣で見てて、よくこんなに長い間飽きもせずに一人の人だけを追いかけられるなって私には不思議でしかなかったよ」


10年……。

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