今日から不良王子と同居します。
「いえいえそんなことで、お忙しい旦那様を煩わせることなんてできませんからね」


ばあやは優しく笑っている。


ばあやとしても、大河内家のことで直政くんにあれこれ言われたくなかったのかもしれない。


だって、ばあやなりに私と玲生くんの部屋を一番遠くに離したり、食事中も話をしないように注意したり、普段から間違いがあってはいけないと目を光らせているんだから。


「それにしても、お嬢様と玲生お坊ちゃんの仲を疑うなんてどうかしていますよ。
お嬢様が、私の言いつけを破ることなんてありえませんし」


「え……うんそうよね」


「そうですよ」


うっ、どうしよう、ばあやは私に対して全幅の信頼を寄せているみたい。


だけど、私はもうとっくにばあやに背いて、玲生くんとこっそり仲良くなっている。


さすがに罪悪感で胸が痛いよ。


こんなに信用してくれてるんだもん。


「それに玲生おぼっちゃんにも、口が酸っぱくなるくらい申し上げておりますから」

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