今日から不良王子と同居します。
そう言って、ベッドの方を指さしたんだけど彼はそちらへは目を向けない。


白くてお洒落なベッドだから、彼にも見せたかっただけなんだけど。


見れば彼は照れくさそうに、瞳をそらせてしまう。


あ、私ったらいきなりベッドの話題なんかしたら変だったかも。


ほんとに私ってタイミングが悪いというか、空気が読めないというか……。


「……」


彼は気まずそうに紅茶を一口飲んだ。


部屋の中のどこを見ていいかわからないみたいで、困っているみたい。


もしかしたら、女子の部屋に入ること自体に慣れていないのかな。


真面目な直政くんらしいなって思ったら、微笑ましい。


「直政くん、アルバムみよっか」


このままだとまた会話が弾みそうにないから、昔のアルバムを開くことにした。


「そうだな」


小さいころからの幼なじみだから、そこには私たちの思い出がいっぱいだ。


きっと会話だって盛り上がるに違いない。


「うわ、懐かしいな」


うちの邸のお庭で撮った1枚の写真をみて彼は目を細める。

< 224 / 373 >

この作品をシェア

pagetop