今日から不良王子と同居します。
不満げに私の方を睨んでくる女の子も何人かいて、視線が矢のように突き刺さる。


やっぱり玲生くんは、女性たちの注目の的のようだ。


ふうっとため息をついていたら、なにやらホールの中央が騒がしくなってきた。


どうやら今夜のパーティーの主役があらわれたようで、会場は湧き上がる。


「玲生っ」


「玲生じゃないか、来ていたのかい」


その時、大きな声で玲生くんの名前を呼ばれてハッとした。


品のいい夫婦がこちらを見てニコニコして手を振っているんだけど、その人たちはたくさんのゲストたちに囲まれていて身動きが取れないみたい。


「あ、もしかして玲生くんのご両親?」


「うん、音葉さんにも紹介するよ」


「ううん、私は後でいいから。玲生くん先に会ってきてあげて」


ご両親はお客様たちに囲まれて順番に挨拶をされているようで、とても忙しそう。


私は後からでいいので、先に玲生くんだけでも傍に行ってあげて欲しい。


だってあの様子だと、一刻も早く彼と話がしたいんじゃないかな。

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