今日から不良王子と同居します。
「私は、雰囲気に慣れるまでもう少しここにいるから」


「でも、それじゃあ音葉さんが1人になってしまうよ。変な男が寄ってきたらどうするの?」


「やだな。そんな大きな声出さないで。私なら大丈夫だから」


ほらほら早くって言って彼の背中を押した。


「気を付けて、何かあったら俺を呼んで」


「うん」


そう言って、彼は私の腕を引き寄せた。


そして手の甲にそっと口づけを落とす。


「ひやっ」


小さく悲鳴を上げたのは私だけじゃなくって。


遠巻きに私達を見ていた女の子たちのグループが一斉にコソコソと言いあって騒ぎだしていた。
 

「よしこれで大丈夫、変な虫が寄ってこないようにおまじないだよ」


「おまじないって……」
 

また突拍子もないことをするんだから。


たくさんの人が見ている前で恥ずかしいよ。


ううっ、顔が熱い。


「男が誘ってきたら、俺が彼氏だからって言って追っ払いなよ」


「う、うん」


彼氏だなんて、そんなこと言えるかな。


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