今日から不良王子と同居します。
もしもお兄さんがここにいなければ、私がそうしてあげたいくらい。


そして、愛おしさが募ったような気がした。


玲生くんに対する気持ちが私の中で形が作られてくる。


好きって。


何度も閉じ込めた気持ちがもう抑えられない。
 

彼のことが好きなんだって。
 

この気持ちを彼に伝えるわけにはいかないのに。


もうこれ以上膨らまないように、しっかりしないといけない。


それから、私はお願いされた通りお兄さんと玲生くんが話をする間、ずっと傍で見守っていた。


私には婚約者がいる。玲生くんにこの気持ちを伝えることなんて到底できっこない。
 

だけど、こんなことくらいなら、私にだって許されるんじゃないかなって思ったから。


少しでも彼の役に立ってあげられるように。


玲生くんの将来が少しでも明るいものになりますように。


そんな風に願いながら。
 

兄弟のこれからの話に耳を傾けて、見守っていた。



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