今日から不良王子と同居します。
会いたい、でも。
「少しは落ち着いた?」
「うん」
酔い覚ましに神崎家のお邸のお庭を玲生くんと一緒に散策していた。
「風、気持ちいい」
ゼリーに入っていたごく微量なお酒に酔ってしまっていたけれど、冷たい夜風を頬に感じたら頭がしゃきっとしてくる。
うちのお庭の何倍もある神崎家のお庭にはたくさんの種類のお花が咲き誇っているみたい。
暗くてはっきりとは見えないのが残念。
「よかったね、お兄さんと仲直りが出来て」
「え、うん。そうだね」
玲生くんはきまり悪そうに首の後ろを触っている。
どうしたのかな?ってそっと見上げたらはにかんだように笑う彼と目があった。
「いや、みっともないとこ見られたから。ちょっとさっきのは忘れてくれたら嬉しいんだけど」
「みっともないって?」
「……」
彼はちょっと俯いてしまう。
ひょっとしてさっき私の前で涙を見せてしまったことが恥ずかしいのかな。
うそっ、なんだか可愛い。