今日から不良王子と同居します。
「えっ、うん」


明日香ちゃん達には玲生くんが自宅へ戻ったことだけは伝えていたけど、私の気持ちまでは話していないはず。


「平気だよ、どうして?」


「だって、玲生くんがいなくなってからの音葉、いつも泣きはらしたような目で……」


「えっ」


平気な顔をしていたつもりだったけど、彼女にはとっくにバレていたんだ。


「ごめん、私、本当は気が付いてた。だけどいつか時間がたてば音葉も彼を忘れるかなって思って」


「……」


「音葉の気持ち、知ってて知らないふりしてた。友達なのに、最低だよね私。ごめん」


「ううん、そんなこと別にもう構わないよ」


明日香ちゃんは辛そうに俯いた。


「たぶん、直政も気が付いてたと思う」


「え?」


「だから……いま玲生くんに会ったら大変なことになるかもしれない」


「大変なことって?」


「わからない、だけど今日の直政は明らかに変だよ」


「うん、私もそう思う」


私も急に嫌な予感がしてきて怖くなった。


明日香ちゃんと一緒に直政くんの後を追ってグラウンドへと足を踏み入れた。



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