今日から不良王子と同居します。
他人にこんな風に暴力をふるうことなんて今までの彼ならありえなかったはず。


直政くん、一体どうしてしまったの?


「次は誰だ?おまえらみたいな雑魚が何人かかかってきてもかまわんが、早く神崎を連れてこないと、今度は手加減しないぞ」


直政くんは威嚇するようにそう言って、砂で汚れた制服のズボンをパンパンと手ではらう。


見たこともないような彼の冷徹な眼差しは余裕すら感じさせる。


「やめて……なおまさく」


喉の奥がカラカラでうまく言葉が出ない。


「やめなさいったら、直政。今日のあんたちょっとおかしいって」


明日香ちゃんが悲鳴のように叫ぶけど、彼には全然届いていないようだった。


「やべえ、玲生に電話するか」


「おい玲生は今あそこだろ、疲れたから保健室で寝るとか言って」


蒼汰くんたちは急いで玲生くんをこの場へ呼ぼうと相談し始めた。


ポケットから急いでスマホをとりだして、電話をかける蒼太くん。


私達はその様子を固唾をのんで見守っていた。
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