今日から不良王子と同居します。
なんでも、うちの父の会社よりもずっと大規模な会社の社長の次男らしい。


神崎グループといえば政財界にも多大な影響力のある大財閥らしいけれど、私にはお仕事のことはよくわならない。


とにかく、凄い御曹司だってことは確かみたい。


そんな人から見たら、うちなんかじゃ物足りないかもしれないけど、精一杯おもてなししなきゃ。


「そっか、礼儀正しい男の子なんだね。お父様、私に任せて。だけどどうしてその男の子をうちに?」


「ああそれが、少し家庭内で複雑な事情があるらしいから落ちつくまでうちに住まわせてやって欲しいと神崎さんからお願いされてね」


「ふーん、複雑な事情って?」


父の一言が気になって、尋ねた。


だけど、電話の向こうから秘書のおじさんの声がする。お父様を呼びにきたのかも。電話ひとつゆっくりできないほど父はいつも忙しそう。


「すまん、音葉、そろそろ会議がはじまるから電話を切るよ。その話はまた後日ゆっくり話すから」

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