シークレットガール
「第11.5章」
納得いかねえ。加藤のやつ、最近調子に乗りすぎてるよな。何とかしないといけないな。
いじめるとかはダメな気もするし、もっと効果的かつ隠密にやれる、都合のいい方法があればいいんだけどな。
そんなことを思いながら、授業を聞いていた。もちろんその内容は頭に入ってこない。一応聞いてはいるが、BGM代わりに聞いてるだけに過ぎない。
美波を使ってみるか。俺はその方法にたどり着いた。美波って加藤と親友だしな。うまく使えば、復讐できるかもしれないな。
よし、それで行くか。この前も、結構効いてたみたいだし。
次の日、俺は早速試してみることにした。まずは美波に何らかの仕掛けを入れないとな。
「なあ、美波。ちょっと話したいことがあるんだけど、いいか?」
「まあ、いいけど。でも珍しいね。あんたが私に話しかけるのは。」
「そんなのはどうでもいいだろ。とりあえず付いてこい!」
「な、何よ! ちょ、ちょっと! 何処に行くのよ!」
美波はそう言って抵抗したが、腕力は俺の方が上だし、別にそれはどうでもいい。
俺は美波を連れて、裏庭まで連れてきた。美波は息を切らしながら、「何なのよ!」なんて言いながら、明らかに不満そうにしていた。
「そんなに睨みつけんなって。お前を呼び出したのは、加藤のことでちょっと話があるからだ。」
「うん? 茉乃ちゃん? 何? あの子、なんか問題でもあるの?」
やっぱり美波は、加藤のやつの話になるとすぐ食いつくな。まあ、俺にとっちゃ都合がよすぎるな。興味を持たせる作業が省けるしな。
「加藤のやつがよ。お前のこと殺そうとしてるって知ってるか?」
適当に考えてみただけだから、正直信じてもらえる自信はない。面倒いし、これで信じてもらいたいな。
「え? 何それ。そんなわけないじゃん。私たちの友情はそんなもんじゃないよ。」
「そうか。ならこれでどうだ!」
俺はそっとテープレコーダーを、自分の制服のポケットから取り出した。
「この中に、その証拠が入ってるぜ。聞いてみるか?」
「ちょっと待って! 本当にその中に入ってるの? 茉乃ちゃんが私を殺そうとしてる証拠が。」
「さっきからそう言ってるだろ。」
俺はそろそろうんざりしてきたこともあって、少し怒りっぽくそう言った。
「聞かせて。」
美波は、生唾を飲んでそっと言った。俺はそっと笑いながら、「よーし、じゃあ再生するぜ。」
俺はそっとテープレコーダーの再生ボタンを押した。
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