シークレットガール
「第11章」
「ねえ、あんたに報告があるけど、ちょっといい?」
友達と話していた星野くんに、私はそう聞いた。
彼は「ちょっと行ってくるわ。」と、友達に告げ、「さあ、行こうぜ。」と、私の方を向いて言った。
ここはうちの学校の裏庭。私と彼の間には、少しの緊張感が漂っていた。
「っで、なんだ?」
「とりあえず説得できたよ。」
「誰のたよ。」
「美波のことだよ。」
「お、それは良かったな。」
彼は興味なさげにそう答えては、「それで? 本題はそれじゃないだろ?」と、彼は次の言葉を急かした。
「今回の検証から、くじ要素は削除することにしたの。」
「は? なんで?」
彼は明らかに困惑している。まあそうだよね。自分の役割がさらに小さくなるわけだし。
「だってもうあんたのこと信頼してないから。検証のこと、美波に話したりとかする人に、大きな役割与えるわけないでしょ?」
「いや、それは悪かったってば。」
「とにかく、そうすることにしたからね!」
私はそう言い、その場を立ち去った。多分彼は納得してもらえなかったと思うけど、でもそんなの私には関係ない。
私は研究者であり、真理を求める者。ひとつの疑問が浮かび上がっており、その答えはまだわかっていない。だから私は問い続けるのだ。
まあ、少しの余興もないとすぐ飽きてしまうだろうし、彼がどう動くか見てみるのもいいかもしれないな。
次の日、私は彼に呼ばれ、屋上に来ていた。
「何?」
わたしはそう問いかける。どうしたんだ? まあ、多分昨日のあの「発言」と関連のあるものだとは思うけど。
彼は緊張しているようだ。なかなか口を開かない。仕方ないので、私から先に聞いてみよう。
「本当はわかってるんだよ。」
「何を知ってるんだ?」
その声は少し震えていたが、そこは無視することにした。
「あんた、私がもうくじはしないって言ってたの気にしてんでしょ?」
「まあ、分かってんなら話は早いな。俺は納得できねえ。予定通りやらせてもらうぜ。」
「何言ってるの? やらないって言ったでしょ? これからは私が一人でやるの。あんたに何言われてもそれは変わらないよ。まあ、私があなたのこと信頼できるようになったら、またあんたと共同でやっちゃうかもしれないけどね。」
彼はずっと黙っていた。納得してもらえたのかな? よくわかんないや。
星野くんって、強がってるけど意外にこういうのに弱いんだよね。ちょっとくらい弱点がないと、やっぱり人間味がかけちゃうし、これでいいかも。
「じゃあもういいよね? もういいなら私もう行くね。」
私はそう言い、屋上から出ようとしていた。彼は私の後ろから「覚えてろよ。絶対復讐してやるからな。」と、言いかけてきたが、私はサラッと無視して、屋上を後にした。
面白くなってきた。そんな気がした。最近検証も飽きてきたし、こういうのもいいかもしれないな。
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