シークレットガール
「第13章」
もうそろそろ殺っちゃおうかな。星野くんって調子乗りすぎだな。何とかしようか。
とりあえず屋上に呼ぼう。私はそう思い、星野くんにそっと近づいて、「今度の昼休みに、屋上で会える?」と言った。
彼はどう見ても不満そうな顔でこっちを見ている。まだ拗ねているのか。私は彼をおびき寄せるために、「くじの時間だよ!」と、そっと囁く。
彼はそっと頷いては、また友達と喋り出す。よし、多分これで彼は屋上まで来るだろう。
私は、この計画を絶対成功させるために美波にも協力してもらうことにした。
美波には「彼を追求するために、逃げないように屋上の扉を閉めてほしいの。」とお願いした。
もちろん承諾してくれた。これで全ての準備は終わったな。あとは昼休みになるのを待つのみだ。
チャイムが鳴る。私は緊張しながら、そっと階段を上る。そして屋上の鍵を開いた。
誰もいない。そうだよね。だって閉まっていたんだしね。そう言えば久々に来たな。最後に来たのが1年前の夏ぐらいだったと思う。
それ以来全然来てないな。少し思い出にふけていると、彼がやってきた。私は屋上の扉が閉まるのを待ってから、そっと声をかける。
「星野くん、久しぶりだね。」
「まあ、そうだな。じゃあ始めようか。運命のくじ引きをな。」
こんな台詞、よく口にできるな。まあ、でも間違ってはいない。彼はもうすぐ死んでしまうのだから。
私は彼に、「ここで新ルール発表でーす!」と、テンションを上げて、彼に向けてそう言った。
「新ルール? なんだ?」
「今日からは、目を閉じて引くことになりました! それとそれぞれ引いたら目を開いて確認! 全員が引く前には目を開いちゃダメだからね? あと目を開いてしまうかもしれないからこれつけてね!」
私はそう言いながら、鞄からアイマスクを取り出す。2個があった。
「なんだよ。めんどくせえな。」
「そんなに嫌なら、しなくてもいいんだよ?」
私はわざと挑発するかのような口調で、そう言った。
「わかったよ。」
彼はそう言い、アイマスクをつける。私もそっとつける。実は私の方は穴が空いてあって、見えるようになっている。とても小さいので、多分彼は気づかないのであろう。まあ、彼もアイマスクつけてるから、私が外してもわからないと思うけどね。
「じゃあ引いてね!」
私は彼にくじを引かせる。それならくじの束を彼の手に渡した。彼はちゃんと混ぜて、そっと差し出した。
私はその隙に、そっと鞄からカッターナイフを取りだし、彼の首を、そっと一気に切った。一気に切ったから、多分抵抗しようもないだろう。それにアイマスクもつけているしね。
私はとどめを刺すために彼の心臓を、鞄から取り出した包丁で突き刺した。
彼の心臓と首の方から血が吹き出て、その辺りに血溜まりがそっとできていた。
私は、カッターナイフを鞄に入れた。そして包丁で彼の死骸をバラバラに切り落とし、予め用意した鞄に入れた。せめてもの情けで、私は彼の死骸と共に、餞に一輪の花を手向けた。
その花はマリーゴールド。花言葉は絶望、悲しみ。彼によく似合うと思い、その前日に買ったものだ。
さよなら、星野くん。そして今までありがとうね。どうか安らかに眠ってね。
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