シークレットガール
「エピローグ」
そして今、あれから一週間ぐらいが経った。星野くんは行方不明となり、なぜ消えたか私たちの間には色んな推測が出回っている。どれも現実味のないものばかりなんだけど。
私は今でも検証を続けている。不思議だよね? まだ捕まってないって。私もびっくりしている。
美波とも上手くやっている。もちろん検証のことも黙ってくれているし、むしろ協力さえしてくれている。星野くんより良いパートナーだと私は思う。
ところで話は変わるけど、結局まだ分からず終いのままだ。人の命は本当に尊いのか。正直まだわからない。とても曖昧なものだってことはわかったけどね。
だから私は、これからも続いていくのだろう。誰になんて言われようと、私はその答えを知るまでは求め続けるのだろう。
でもやっぱり命は美しい。散っても咲いてもそれは同じだ。まるで花のようだ。
だからよく人の命を花とよく例えたりするのかな。
まあ、とにかく私はここにいる。大切な人と共に居て、私のやりたいことも受け入れてくれて、更には協力もしてくれる。それが例えこの社会のルールに反する行為だったとしても、それでも美波は私の味方になってくれた。
それだけで少しは救われた気がして、やっぱり人の命はそんなに無価値なものではないんだって思ってしまうんだ。
こんな幸せを感じられるなら、それでいいんじゃないかな? でもまだ確かではない。
それが私だけに該当するものなのかもしれないし、私以上の幸せを噛み締め、生きている人もいるかもしれない。
過ぎたるは猶及ばざるが如し、こんな言葉が浮かんでくる。度が過ぎれば、どんなにいい事も悪いことと同じくらい悪いということ。
なら度が過ぎた幸せを持ってる人は、実は不幸ってことなのだろうか。検証する必要があるな。
空は青い。果てしない青さが、ただただ広がっている。私の心はどうだろう? 美波の心は? そして星野くんの心は?
汚れていなければいいんだけどな。私は別に悪人になんかなりたくないから。
私は悪くない。だから今日も、そして明日も検証をするだろう。
こんな私を誰が責められるのだろう? 誰だって抱く、当たり前の疑問。他のみんなはそれを検証しようとしないだけで、きっとみんなその答えを求めている。そうに違いない。
そして私はその答えが知りたくて、検証をし続ける必要悪。
あ、やっぱ私悪か… でもこれは必要な悪なんだし、別にいいよね?
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