死にたがり屋の少女は暴走族と・・・Ⅰ

仲間の裏切り


【美月side】


「未雨…」


クーちゃんの話を聞き終え帰る途中、私はクーちゃんの話を思い出しながら未雨の名前を呟いた。


「美月ちゃん。大丈夫だよ。」


そんな私を蒼弥は慰めようとするけど


それでも全く心が晴れない。


だって私は…


何も知らなかった。未雨の辛さや悲しさ…何もかも。


未雨がいつも暗い顔をしていた理由も。


「…」


私が黙っていると


「美月がそんなんでどうすんだよ。」


と璃羽都が言ってきた。


「美月がそんなじゃ、未雨が帰ってきた時余計に悲しむだろ?」


璃羽都…


「そうだよ!!美月は元気でいなくちゃ!!」


璃羽都に続くように夏那も言ってきた。


遥輝は相変わらずあまり喋らなかったけど、それも遥輝の優しさなんだろう。


本当にみんなは優しいな。


「なぁ、倉庫に寄ってかねぇ?」


「美月が元気になるまで俺らが話聞いてやるから。」


璃羽都が言い出すと


みんなは賛成してくれた。


だから私も


「ありがと!!」


今は甘えることにする。


未雨が帰ってきた時、私が未雨の甘え場所になれるように。


「ワタシも全て知っている訳では無いわ。真実を知るのはただ一人。本人だけよ。」


「ワタシはあの子の親が亡くなった後、誰に拾われたかは分からない。」


「(あの子のことを知り、救えるのは貴方たちだけなのかもね)」


「死にたがり屋ちゃん…あの子が今やっていることを止め、救ってあげて」



鴉の話を聞聞こえると5人で倉庫に帰った。


「総長!!やっと帰ってきましたか!!」


下っ端の子たちが慌ててこちらに駆けつけてきた。


「そんなに慌ててどうした?」


璃羽都が聞くと


下っ端の子はある手紙を見せてきた。


その手紙の内容は


『来週の金曜日 午後7時に
長年の因縁に蹴りをつけよう
baideddo(バイデッド)』


「baideddoの野郎…」


とつぶやく璃羽都に対し、


「baideddoって?」


と夏那が聞いた。


夏那でもbaideddoについて知らないんだ…。


baideddoって人の名前なのかな?


なんなんだろう…


「…アイツらは犯罪組織だ。」


「そして…俺ら雷鬼と双子だと呼ばれていた元暴走族だが今はヤクザの手下…とでも言おうか。」


璃羽都が説明してくれた。


犯罪組織?!


「犯罪組織って…。なんでそんな人達から手紙が?!」


ビックリして聞き返す夏那に


「俺らとの関係をたつ…俺らを潰しに来るみたいだな。」


璃羽都は冷静に答えた。


そこって…冷静になるとこ?


と思ったものの、私は口を挟まない。


「緊急会議を開くぞ。蒼弥と遥輝は連絡を回せ。」


璃羽都は2人に言うとすぐに倉庫に入って行った。


「…私って帰った方がいい?」


怖くなって念の為聞くと


「別に大丈夫だと思うよ。夏那ちゃんと下で待ってなよ。」


と言うもんだから夏那と大人しく下で待つことにした。


蒼弥や、遥輝はと言うと2階で璃羽都と会議室にこもった。
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