死にたがり屋の少女は暴走族と・・・Ⅰ
「上で何を話してるんだろ…」


と私がつぶやくと


「多分、baideddoについてだよ。」


baideddo…犯罪組織って言ってたけど。


「みんなはその人たちと闘うのかな?」


「私もそれはわかんないけど…多分闘うのかもね。雷鬼は売られた喧嘩は買ちゃうからアハハ…」


と言って夏那は笑うけど



私からは苦笑いにしか見えない。


「夏那…」


夏那は一息おいて


「…これはね、遥輝の彼女になる時にわかってたことなの。」


「遥輝が喧嘩をするのは嫌だけど見守るしかないの。」


「これが私の仕事だから。」


夏那は悲しそうに呟いた。


見守ることが…仕事…


絶対に辛いんだろうな。


そんなの私は耐えきれない。


けど、それ以外に今の私たちができることは無い。


baideddo…


雷鬼のみんなは犯罪組織に勝てるかな?


心の中で呟いていたつもりだったものの私は口に出していたらしく、


「大丈夫だよ。みんななら。」


と夏那は呟いた。


みんななら…


「そうだよね。」


そう。みんななら大丈夫。


璃羽都たちがどれ程強いかなんて私には分からないけど…


雷鬼の人達なら勝てると思う。


根拠なんてないけど…そんな気がする。


この時の私は


あとから起こる悲劇なんて


知るよしもなかった。

< 123 / 188 >

この作品をシェア

pagetop