愛は惜しみなく与う⑦
サトルはどうして分かったんだろう。


サトルの思惑通りになったんだけどね。


「杏はお前と違って、必ず東堂を守るために動くと思った。だってそういう女だから。俺にはそれが読めていたんだ」


そう
サトルはお姉ちゃんをよく理解している。なんでなのかな。話したことさえ殆ど無いはずなのにね。

私はお姉ちゃんは、東堂を捨てると思ってた。

ほんと、何も分かってなかったね



お姉ちゃんがまさか、私のフリをして、東堂を潰さないようにしただなんて……私には想像もできなかったよ。


「まぁ、杏がお前のふりをするところまでは、読めなかったけど。どうにかして潰さないようにはすると思ってた」


俺の狙いは完璧だった


そう笑顔になる。


私はまんまとサトルの作戦に使われただけなんだね。

何も気づかなかったよ



「後はもう、杏にどれだけ憎まれるか…それだけだったな。ただお前が死ぬだけじゃダメだった。俺が殺したと自覚して、俺を恨んでほしかった。どうしようもないくらい憎んで……ほしかった」
< 106 / 404 >

この作品をシェア

pagetop