愛は惜しみなく与う⑦
「……気持ち悪くないのか?」

「気持ち悪くなんかない」


こうやって自分で自己防衛して、先に言われるのを阻止する。


人に気持ち悪いと言われる前に、自分で「気持ち悪いよな」と言ってしまうと、人は頷くか首を振るかでいい。だから、気持ち悪いと、直接言われる心配はない


先に傷つかないように予防線を張っている


無意識のうちに



「心は傷つくの、嫌みたいやで」


手のひらでサトルの身体に触れると、ビクッとしてそのままあたしを睨む


怖いんやな



「心臓は嘘つけへんもんな。動揺してるな。どうした?今何を思ってる?」


「……なんでお前に傷を見せたのか自分でも分からない。ただ顔を歪めるかと思ったけど、一切顔は変わらなかった」

「あぁ、そう。ビックリしたのはビックリしたけどな。気持ち悪いって…言って欲しかったわけちゃうやろ?」


サトルは口を開けたままあたしを見ている。



「自分からかわいそうな奴になりにいくな」


パシンッ


頬に激痛


サトルに叩かれた



「お前こそ…何がしたいんだよ!!!!頭がおかしくなりそうだ。黙って人形みたいに着いてこればいいんだ!!黙って俺のいう通りにしてればいいんだ!黙ってろよ!!!」
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