愛は惜しみなく与う⑦


「でもやっぱり俺は、杏に笑顔でいて欲しいから。杏らしく…この先も過ごして欲しいから。ここで今、解決して。決めて。迷うな!ここまで一緒に戦ってくれた人達を思い出して」


一緒に戦ってくれた…人達


何を迷ってるんやろ。サトルを許す許さんは関係ない。とりあえずほんまにせなあかんことは、みんなを守ること。

それには

サトルがこのままここに居るのはダメや



ちゃんと…しかるべき判断を。



「ごめん。ちょっと頭いっぱいで」

「うん、いいよ。でも杏は、なんでも自分に重ねすぎだ。所詮他人は他人だ。大事にしたいと思った人だけ守れ。目にとまる全ての人に手を差し伸べていたら、杏が壊れるよ」


お願いだから、抱え込みすぎるな。
泉はそういってあたしを抱きしめた。

その手は震えていた


殺されるかもしれへんこんな所に、一緒に来てくれた人を蔑ろにするところやった。



「ごめん。ありがとう。もう、帰ろう。知りたいこと知れたし。ごめんな」


ずっと一緒に居てくれたんだ。
先に戻って待ってくれてる朔達のためにも、泉は無事に返さなあかん。
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