愛は惜しみなく与う⑦
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「もう、終わりにしよ。これまで色々あったけど、今終わらせよ」


どうして助けたんだ


「……もう、終わってるだろ」


「んーん。ちゃんとは終わってないよ」



杏は座りこむ俺に視線を合わせて、自らもそばに座る



「あたしは、あんたを救ってあげれへん。あんたがあたしを欲しいっていう気持ちにも、応えてあげられへん。期待には応えれへん。それに、サトルにされた事を思い返すと、許せへん。

でも、鈴とちゃんと話せて、初めて鈴の本音を聞けた気がした。志木の大事さも改めて知れたし、薔薇のみんなにもまた会えたし、烈火のみんなにもこうして出会えて……
あたしも、人として成長できたと思う。多分やけどな。

あたしは、結果オーライやって、いつか笑えると思う。そりゃ時間はかかるけど……悪いことばかりじゃなかった。


サトルはどうや?」


あたしに執着して良いことあった?そう尋ねた。どうって……

薄暗かった辺りは、ほんのりと明るくなってきて、地平線から覗く朝日が静かに2人を見守る



「俺は……」


杏から視線を逸らして、逃げるように身体を引く
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