愛は惜しみなく与う⑦
おかしいだろ?
なんで杏のいた場所が崩れるんだ?
俺はそこにさっきまでいただろ?


俺が……

モタモタしてなかったら、こんな事にならなかった?
杏は俺を助ける為に、もう一度ここへ跳んだ。

それがなければ…




俺が…殺した?



「水瀬、離せよ!」

「今行ったら巻き込まれる」

「死んだらどうすんだよ!!!!」



どの口が言ってるんだって思う。
でも、こんなはずじゃなかったんだ。

杏が死ぬなんて、誰1人として望まない。


完璧に杏の居た場所の二階の屋根は崩れて、杏の姿が見えなくなった。



意識が飛んでしまいそうだ



「あの女…見えないぞ?瓦礫の下とかじゃ…ないよな」


水瀬は崖から下を見下ろす


瓦礫の下…
大いにあり得るだろ


「ちょっと!サトル!」


斜面になっているところから滑り落ちるように下へ降りる。



杏を


探さなきゃ



何かに身体を乗っ取られているのかってくらい、身体が先へ先へと急ぐ。

探さなきゃいけない。


どの辺に落ちた?
どこにいる?

無事なのか?


瓦礫を押しどけ、何度も名前を呼んだ


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