愛は惜しみなく与う⑦
心が震えた

全身に鳥肌が立ち

浄化されたような気になる


伸ばしたままの右手

その手を…取る権利がないことはわかってる。でも…もし二度と会えないとしても…


友達になれるってゆう希望があれば


乗り越えられる気がする



「ありがと」



杏の右手を、そっと力を入れて握った


杏はそのままもう一度笑って、さっさと跳べと促した。


俺をあちら側へ跳ばす為に、こんな風に言ったのかもしれない。


それでもいい


嘘つかれててもいい



脚に力を入れて跳ぶ



向こう側で水瀬が手を伸ばして、跳んできた俺の身体を支えた。



「大丈夫か?」

「……あぁ」


杏もすぐに後ろへ下がり助走をつけた


つけようとした

なのに急に頭を押さえてフラつく


え?

そう思った瞬間に


同じ高さくらいに居たはずの杏が



下にさがる


なん、で?



手を上に伸ばして、下へ落ちていく杏



なんで?距離が足りなかった?

いや、違う



二階の屋根が崩れ落ちたんだ



「杏!!」


「ま、待てよ」


水瀬に身体を掴まれて動けない
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