愛は惜しみなく与う⑦
杏と母親を繋ぐって…
無茶な気がするが。

案の定泉も眉間にシワを寄せた。

わかってるよ。
1番の理想は、杏が自分を偽らずに生きていける事だ。

でもそれは、杏の母親がすべて受け止めなければいけない。それは聞いてる限りじゃ無理そうだ。


だって妹がいなくなった時に、『杏が死んだ。鈴ちゃんじゃなくて、杏が死んだのよ』そう自ら言ったんだ。

会ったことないけど、そんな事を言う奴に、杏を理解して欲しいとも俺は思わない。


だから…


何事もないように妹が振る舞えれるのが1番だと思う。


でも妹は折れなかった



「戻って私がお母様を説得します」

「だから…そんな出来るか出来ないか分からないことに賭けてられない。もしそのまま母親がおかしくなれば、お前が東堂を支えれるのか?」


高校さえまともに行ってない。まだ戻ってきたばかりの精神状態で、お前に何が出来る。


泉はそう言い放った

その言葉は厳しいようだけど、泉なりに全部考えての言葉だと思う。


でも妹は何か引っかかるのか、納得がいかないのか…悔しそうな顔をしている。
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