愛は惜しみなく与う⑦
孫が…みたいの?
イカツイ顔してるのに、その表情はとても優しくて…切なくなった。
あたしの目の前に現れる人達は
とても大切な人な気がする
「なぁ、誰なん?あたしのお父さんなん?」
そう聞いても、眉を下げて、少し悲しそうに微笑むだけ
あたしの声は聞こえてないの?
「うわぁ!」
また強い風が吹いた
足で踏ん張っても、少し体を持っていかれる強さ。
今度は何よ…
目を開けてみたら
見覚えのある人がいた
覚えていたくないはずやのに。今まで現れてくれた人の方が大好きやのに。
なんであたしは、この人の事を覚えてるんやろうか。
……こわい
なんであたしを見るん?
今まで殆ど目を合わせたことさえないのに。
あたしの目なんて、みたことないのに。
何度あたしはその目に写りたいと思ったか。
それでも自分には与えられなくて
全てを諦めたのに
どうして目の前の人は、あたしのことを見てるんやろう
なんで、泣きそうな顔をしてるん?
涙なんか、あたしの為に流したことないやろ。